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最もマズイ料理 

忙しさにかまけて一月も更新をほったらかしにしてしまって、何時の間にか2006年になってました。
今更ですが、あけましておめでとうございます。


さて、皆さんは見知らぬ土地に行った時、何を食べますか?
もちろんその土地の名物や郷土料理があれば良いのですが、ドライブインやファーストフードくらいしか見当たらない・・・しかも毎日そんなのばっかりでご飯が恋しい。
そんな時、アメリカで頼りになるのは中華料理です。
私の経験上、日本食やその他のエスニック料理店とくらべて、遥かに数が多く、アタリハズレが少ない。
カリフォルニアでもユタでもモンタナでも、荒野にぽつんとあるような小さな街にも漢字の看板を掲げた中華料理店を見かけて驚きます。
正しく食を武器にした開拓者たちです。

いまから十数年前ですが、私は数週間かけて中西部のネイティブアメリカンのリザベーションを訪ねる旅をしました。
私は民俗学が趣味で、ネイティブアメリカンたちの民話や伝承などを聞きに行きたかったのです。
彼らのリザベーションは殆んどが都市から遠く離れた僻地にあります。
最初のうちは伝統料理を食べたり、ドライブインでアメリカンな食事をとっていましたが、一週間もするとどうにもご飯が恋しくなって来ました。
しかし、最寄の都会には車を飛ばしても3時間は掛かるのです。

半ば諦めて、更なる奥地を目指して延々と真っ直ぐな道を走っていた時です。
遠くの交差点になにやら巨大な漢字の看板が!
「○○飯店」
なんと、こんな所にまで中華料理は進出してきているではないですか。
スバラシイ・・・!

私は迷わず車をとめ、その店に入りました。
すぐに店の奥からウェイトレスさんが出てきました。
中国人だ!ちゃんと中国人のいるレストランだ!これは期待できる。

空腹の私はチキンチャウメン(中華焼きそば)とビーフと野菜の炒め物をオーダー。
しかし、厨房で料理が始まると、私の期待は心配に変わりました。
威勢の良い油の音と共に漂ってくる匂いが違うのです。
いつもの中華料理屋で漂ってくる美味しそうな香りと違う・・・何だこの漢方薬みたいな不思議な匂いは???
しかも厨房の奥からはリズミカルなナバホ語の鼻歌が聞こえてきます。
やがて運ばれてきた料理は、確かに中華っぽい見た目ではあったけど、やっぱり匂いが違う。
一言でいうと葛根湯みたいな匂いなんです。
意を決して箸をつけます。

マズゥ・・・・

なんかそれは中華料理ではありませんでした。
炒め物は漢方薬と泥水でベショベショの野菜を混ぜたみたいで、肉はパサパサ。
麺はまるで濡れせんべいの様な歯ごたえで、切れない・・・・
基本的に食べ物を残さない事をポリシーにしている私ですら、完食不可能という恐ろしい代物でした。

聞いてみると、ウェイトレスは中国人だけど、コックをやってるのはネイティブの人(多分夫婦)。
中華料理は奥さんが教えたらしく、漢方薬風の匂いがするのは土地の薬草の類が入っているかららしい。
ネイティブアメリカンは非常に薬草を多く使い、中には漢方薬に非常に近い物もあります。
気分は薬膳料理なのかも知れません。
「奥さん的にはこれを中華料理と認められるんですかあ?」と喉まで出掛かりましたが、聞けませんでした。(笑

それから数年後、再び同じ場所を通りかかりましたが、お店はまだありました。
という事は、一応ビジネスが成立するほどに客がくるんだろうなあ、ここの人たちはこれが中華料理だと思ってるんだろうなあ・・・と思うと何だか切なかった。

一応、ネイティブアメリカンの名誉のために言っておくと、彼らの伝統料理の類は薬草類も使いこなしてるし、素朴ではありますが、決して まずくは無いです。
いずれネイティブの伝統料理なども紹介したいと思います。

ちなみに、私の食べた最もマズイ日本食は、スウェーデンのマルメと言う街で食べた焼きそばです。
街の人に日本のレストランはあるかと聞いたら、ホテルにもあるけど通りにあるカジュアルな店が人気だよ、と言うので行ってみたらこれが凄い。
味のしない焼きそばは妙に粉っぽくて硬くて、アリゾナの中華チャウメンに近い物がありました。
焼きそばって、簡単そうだけど上手く作るのは実は結構難しいのかもしれないと思いました。

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キャベツの芯はゴミ? 

師走で忙しいので、ひさしぶりに箸休めのB級グルメ。
キャベツの芯をどうしていますか?
たいてい捨ててしまいますよね。
でも実はキャベツの芯って結構美味しいんです。
私の好きな食べ方は天ぷら。
芯だけになったら、葉の付け根の部分を削ぎ落として形を整え、2ミリ厚くらいの柵状に切ります。
これを天ぷらにして揚げるだけ。
あら塩をつけて食べると、コリコリした食感と塩味が効いて、おつまみに最適です。
仕事終わりに厨房で一杯やる時の、まかないおつまみでした。
またラーメンやコンソメスープなどを作る時も、キャベツの芯を加えて煮込むと、野菜の甘味と旨みがでてまろやかな味になります。
勿論この場合はダシとしての使い方ですから、最後にはすくい上げて捨ててくださいね。


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カリフォルニアロールを作ろう 

calroll

ステップ1.まず具の材料を選びましょう
カリフォルニアロールといえばアボガド
別名を「森のバター」といい、非常に栄養価の高い果実です。
アボガドには多くの種類があり、大別するとメキシコ系、グァテマラ系、アンチル系にわかれます。
現在流通している物は殆んどがこの三つを由来とする品種で、日本に入っている物はメキシコ産が多い様です。
中には淡白すぎて寿司用には向かない品種もありますが、日米ともに普通のスーパーで扱っている物は濃厚な物が多いので大丈夫でしょう。
通年で供給されていますが、基本的に食べごろは晩冬から初夏にかけて
この次期の物がもっともクリーミーで美味しいです。
選び方としては、手にとってそっと軽く押してみてください。
食べごろの物は抵抗をもちつつもやんわりと凹む物です。
硬くて凹まない物は熟していませんし、あまり抵抗を感じない物は熟し過ぎなので避けてください。
料理本によっては、黒っぽい物は熟していて、青い物は若いと書いてある物もありますが、色は品種によっても違いますので、色だけでは判別出来ません。

アボガドは硬いヘタをとって、縦に回転させるように刃を入れて、ミカンの房状に八等分に切っておいてください。
avog

ちなみにアボガドは単体で食べるとマグロのトロに食感がなんとなく似ており、アメリカではベジタリアンのお客などに握りのネタとしても人気があります。
擬似マグロの精進料理みたいなものですね。

次にカニカマです。
勿論本物のカニ肉でも良いのですが、値段が段違いですし、元々カリフォルニアロールは庶民の食べ物。
ここではカニカマで作りましょう。
カニカマは結構値段に差がありますが、あまりに安いのは避けた方が良いでしょう。
アメリカのチャイニーズマーケットなどで売ってる激安品は、粉っぽくてとても寿司には使えません。
ストレートにそのまま使うよりも、細くほぐし易い物をほぐして使う方が食感が豊かになります
カリフォルニアロールはカニカマにマヨネーズをあえると思っている人も多いようですが、実際にはあまりマヨネーズあえのお店は多くありません。
アメリカではSUSHIはヘルシーフードであり、FAT(脂質)を多く含むマヨネーズは嫌われがちであるのがその理由です。
個人的にはマヨネーズをあえた方が好きですが、この辺は好みです。
ただ、あまり質の良くないカニカマを使う場合、マヨネーズが味をごまかしてくれる、というのはあります。
カニカマは五センチくらいの細めの物なら三本、太目の物なら二本使います。

ステップ2. 寿司飯を作りましょう
さて、ネタだけあっても寿司は作れません。
主役は寿司飯です。
市販の寿司酢でも良いですが、せっかくなので寿司酢も作りましょう。
材料は以下の通り。(カリフォルニアロール7~8本分)

酢   180cc
グラニュー糖  80g
海塩   24g
昆布   一枚
 

昆布をよく洗って、酢の中に入れ、一晩置きます。
昆布を取り出して、グラニュー糖と海塩を入れ、完全に溶けるまでゆっくりとかき混ぜます。
軽く火にかけると素早くできますが、決して沸騰させないように注意してください。

米は芯を残さない様に、少し硬めに炊きます。
炊き上がったら、米一合に対して大さじ2の寿司酢を振りかける。
まんべんなく振りかけたらシャリ切りです。
シャモジを卓球のラケットの様に斜めに構えて、シャリの塊を切り裂くように混ぜていきます。
決してつぶしてはいけません。
この作業はスピードが勝負です。
あまりこねくり回すとシャリがベトベトしてしまいます。


ステップ3.巻こう!
さて、具と酢飯が決まったら、巻いてゆきましょう。
巻き簾は最初にサランラップで覆ってしまった方が良いです。
裏巻はご飯が外側なので、巻き簾にこびりついてしまいます。

海苔は通常の太巻き用でかまいません。
海苔に酢飯を広げます。
ロール一本の酢飯の目安は大体180~200グラム(一合強)です。
ご飯量は好みで調整してください。
普通の巻き寿司と違って、裏巻は「のりしろ」を残す必要がありません。
全体にまんべんなく酢飯を広げましょう。
海苔を半分にして裏細巻き風にも作れますが、その場合は酢飯の量を調整してください。

酢飯を広げ終わったら、巻き簾の上でひっくり返します。
手前側にカニカマ、アボガドを乗せます。
アボガドは八等分した物を二つ使います。
具の大きさや量はある程度適当でも問題なく巻けてしまいますので、ご心配なく。
裏巻の良いところです。

具を手前に寄せて纏めたら、まず一巻き
具を酢飯で一巻きした状態です。
rolling

ここで少し力を入れてシメます。
具を密着させる事で、切り分けた時でも崩れにくくするのです。
あまり力を入れすぎると、滑りやすいアボガドが飛び出てしまいますので注意してください。
その後はたるみが出ない様に一気に巻いてしまい、最後にもう一回軽くシメます

一本のロールは6ピースに切り分けるくらいが食べやすい大きさでしょう。
最後にゴマを適量振りかけます。
これは風味付けであると同時に、裏巻の欠点であるご飯のべとつきを抑えます。
胡麻以外にも、例えばトビコなどをちりばめても綺麗だし、塩味が効いて美味しいです。

さて、カリフォルニアロールはアメリカ生まれの寿司の代表ですが、カリフォルニアロールのアイディアから発展して、日本の寿司屋ではあまりお目にかかれないユニークな巻き寿司がアメリカには沢山あります。
今度はそういう寿司のバリエーションもご紹介していこうと思います。

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カリフォルニアロールはなぜ御飯が外なのか? 

sushi


最近は日本でも僅かながら出す店も出てきた、アメリカ発祥の寿司カリフォルニアロール。
発祥はロスともサンフランシスコとも言われますが、蟹肉とアボガド、マヨネーズの取り合わせは、日本にいたら思いつきませんよね。
ところでアメリカのお店で働いていて、すぐに気がつくことがあります。
それは同じような巻寿司でも、アメリカ人のお客さんは圧倒的にご飯を外側にした裏巻を好むのです。
実際カリフォルニアロールを含む、アメリカ発祥の巻寿司は圧倒的に裏巻が多いです。
日本人からしたら、ご飯がべとついて食べにくそうと思いますが、彼らにしてみると真っ黒な海苔は黒い紙みたいで、食べ物には見えないらしいのです。
同じように味噌汁のワカメも昆布も、一般的にはシー・ウィード(海草)で纏められてしまいます。
基本的に彼らには海草を食べるという習慣があまり無いのです。
確かに、我々が海外に行っても、一体これは食べ物??という謎の物体に遭遇して食べるのを躊躇する事がありますよね。
あともう一つ、裏巻が普及した理由に、巻くのが簡単という事があり、実はこれが一番大きな要因だと思います。
以前書きましたが、アメリカの厨房では和食の経験などない人々が働いており、こういうスタッフでも寿司を巻ける調理法として、裏巻はぴったりだったのです。
日本で見られるような海苔を外にした巻き方は、ご飯の量がぴったりでなければはみ出してしまったり、海苔の端にのりしろを残さなければならなかったり、結構素人には難しい物です。
その点裏巻は巻き簀にサランラップを張ってしまえばご飯がこびりつくことも無く、ご飯の量もある程度適当でもキチンと丸くなります。
実際、新人のスタッフに寿司の巻き方を教えると、日本風の巻き寿司をキチンと巻けるようになるには、器用な人でも一週間はかかるのですが、裏巻なら数時間で出来てしまいます。
カリフォルニアロールが今の形になったのには、こんな事情があったのではないでしょうか。
裏巻きは御飯が先に口に入るため、通常の海苔巻とは食感が異なりますが、誰でもきれいに作れるため、家庭でお寿司を巻く方法としてお勧めです。
さてカリフォルニアロールですが、お店によって結構作り方が違います。
次回は材料選びからの、カリフォルニアロールの作り方を紹介してみたいと思います。

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本当は怖い?血合い肉 

アメリカにはFDA(連邦食品医薬品局)というお役所があって、食の安全性に関する様々な情報を、保健所を通した通達の形でレストランに伝えてきます。
そんなFDA通達の「危ない食品リスト」にこれもありました。
魚をさばくと必ず出る「血合い肉」です。

魚肉の中で、骨に沿って黒ずんだ赤みを帯びた部分です。
白身魚の場合は量もそれほどでなく臭みも少なく、見た目のアクセントにもなるので、焼き魚やスシネタの場合はある程度残して切り取る場合もあります。
マグロなどの赤身魚の場合、臭みが強く鮮度も落ちやすいために、生食用としてはまず使われませんが、生姜で臭みを消して醤油などで味付けし、煮物などにして食べる人も多いでしょう。
私達のお店でも、メニューには出していませんでしたが、まかない用としてはたまに食べていました。
実際この部分にはビタミンEや鉄分など、重要な栄養素が多く含まれているのです。

ただ、この部分を大量に摂取する事は避けた方が良いようです
FDAからは、レストランメニューには不適切で、調理の際は出来るだけ切り取るようにという指導が出ています。
なぜならこの部分の肉には、魚の血液中に含まれる重金属などが蓄積されやすく、しばしば基準値を超える値が検出されるそうなのです。
海洋汚染の余波がこんな所にも出ているのですね。
特に工業地帯など都市部沿岸産の魚の場合、注意が必要です。
レストランではあまり見かけない部分ですし、過剰に避ける必要はありませんが、特に妊娠中の女性などは家庭で調理する時もなるべく切り取るようにして、食べない方が賢明でしょう。

しかしこの血合い肉の話、日本では聞いた事ないですけど、日本の魚は安全なのでしょうか
まあFDAはしばしば過剰なくらい心配性の役所ですけど、消費者としては気になるところです。

また血合い肉とは関係無いですが、サンフランシスコ在住の頃、たまにベイでカニとりをしていました。
サンフランシスコ湾の内側では結構カニがとれるのです。
私は自分で食べるためにとっていましたが、良いポイントには結構プロっぽいチャイニーズの人々も。
ある日、ふと思って食品検査をしている知人に、「サンフランシスコ湾のカニってどうなの?」と聞いてみたところ、「ん~、あんまり沢山は食べない方が良いよ」との事。
やっぱり大都市の内海なので、ある程度の汚染はあるらしく、食用としてはギリギリなのだそうです。
環境汚染のリスクは結局自分たちに跳ね返ってくるという事ですね。
あの沢山のカニとりの人たち、どこで食べてるんだろう・・・

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